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将来新潟に還りたい夫婦の生活記録

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ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド~日生劇場、開いてますよ!~

こんばんは、三連休中日の夜、いかがお過ごしでしょうか。

三連休中日の夜ってチョット複雑…

ブログはちょっとお久しぶりなヨメです。

 

以前、コロナ騒ぎでイベントがどんどん中止に…という記事を書きましたが、

今月20日頃を境目に、上演再開する舞台がぽつぽつ出始めています。

ヨカッタナー!!!

そんな中、本来今月7日から上演のはずだったこちらの舞台

www.whistledownthewind.jp

ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド (いわゆるWDTW)

に行って参りました~というお話。

 

こちらの公演、7日からの上演を中止していたのですが、

20日から、とうとう!公演開始しました!

奇跡的に、私の所持していたチケットが20日21日でしたので、

タイミングが良くてよかったね…って感じですよね…

「何枚もチケット持っていたけど、結局1・2回しか行けなさそう…」といった話も聞くので、

元々持っていたチケット枚数が少ないとは言えど、

今公演については中止にならずに行けてよかったです。

公演実施という英断をしてくれた東宝アミューズのえらいひと、ありがとう…

 

コロナ対策については、公式HPでご確認いただきたいのですが、

ざっくり紹介すると

・入場してチケットもぎりの前に手指アルコール消毒

(スタッフさんがスプレーでシュッっとしてくれます)

・幕間休憩が10分延長(お手洗い等の混雑緩和が狙い)

(それにしても休憩時間35分ってすごく長いですよね笑)

・飲食物提供はペットボトル飲料のみ

・フライヤー配布はなく、アンケートやフライヤーは机に並べられ、各人が必要な分貰っていく形式に

・他、各所にアルコールポンプの設置

…と、厳重に対策されていました。

この状況下で、来場をあきらめる人も多いのか空席も目立ち、明らかにいつもとは違う雰囲気で。

流石に、すぐ完全復活!とはいかないなぁと、やるせない気持ちに。

普段私のTwitterのTLでは、

「上演して!」「やるんだったら行く!」

という声を多く聞いていたし私もそういう考えでした。

演劇やライブに行くような人って、そういう人が多いんだろうとなんとなく考えていましたが、まだ心配で観劇を控える人もいるんだ…と。

そもそも、上演再開自体を危惧する声も聞こえますもんね。

Twiterというある種閉ざされた空間の中で、いかに「世論を知った気」になっているのかと思い知らされた出来事かもしれません。

というか、この一部かもしれないけど、確かにそこにあるこの意見を、もっと広く知ってもらえたらいいのにな、どうやったら知ってもらえるんだろうな…

ま!こういうまじめ風な話はここまでで。

 

さて、このミュージカル、ストーリーは全くノータッチ初見状態でしたが、

なかなかに感動的で考えさせられる内容でした。

大人と子ども、人種差別、主役二人の描く”愛のようなもの”のかたち等…

以下、あらすじのほかネタバレが含まれる感想ですので要注意!

 

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母を亡くした3姉弟の長女 スワロー(生田絵梨花ちゃん)と、

脱獄した名前の語られない男”ザ・マン”(三浦春馬さん)のやりとりがメインでお話は進みます。

この舞台となっている街の人たちはみんな、純粋なキリスト教信者であることが印象的です。

3姉弟(長女・次女・長男)を始め、子供たちは特に。

純粋というか、従順すぎるぐらいなんですよね。

そして、大人は信じられない、我々子どもたちが正しい!みたいな一致団結感。

でもそれは子どもゆえの「汚れなき瞳」なのでね…眩しいね…。

 

スワローたち姉弟は、母が亡くなってからお父さんとうまくいっていないようです。

特にスワローは、亡くなった詳細について語ってくれない父に、

不信とか不満とか抱いているみたい。

それでも、小さい妹弟の面倒を見たり、ある種母代わりにならなきゃいけない、

そんなプレッシャーも感じている。

「誰も自分の本当の気持ちを聞いてくれない」みたいな?

 

そんな中、クリスマスイブの前夜、スワローたちの家の納屋に、

見知らぬ男が血まみれで倒れているのを見つけます。これが”ザ・マン”ですね。 

スワローは彼のことを「イエス様の生まれ変わり」と信じ、

純粋な信仰心で手当てや世話をするようになります。

「俺がここにいることを誰にも言うな」と言われつつ、

妹弟たちをきっかけに子供たちの中ではもっぱらの噂になっちゃう…子供ならではですね笑。

 

一方、「脱獄犯がこの街にいる!」というニュースを聞き大人たちは警戒。

子供たちには決してそのことを話そうとせず、武装して探し始めます。

見つけたらつるし上げだ!ころしてかまわない!みたいなね…。

ミュージカルにありがちな物騒なナンバーと共にね…。

 

一方、スワローの幼馴染のエイモス(とんちゃんとそうちゃんのWキャストです)(ごついバイク乗りこなす田舎ヤンキー かわいい)(メイクの口元の傷は、親父に殴られたらしいです、その演技は無いんだけど)(情報が多い)は、

この封鎖的な街にいたら腐っちまう!みたいな不満を抱えていて、

黒人である彼女キャンディ(こちらもWキャスト)と街を出ようと約束します。

劇中に「エイモスお前は黒人なんかと一緒にいて全く!キャンディお前はこの街から出ていけ!」みたいなシーンがあるんですね。

パンフレットを読んで理解しましたが、舞台は1950年代のアメリルイジアナ州で、人種差別の激しいところだったようです。

日本でもいえることですが、都会は多様性にあふれて寛容で、

地方ほど保守的で新しいものやよくわからないものに対して排他的で…

そんな世界へのアンチテーゼにも見えますよね。

 

幼馴染のスワローが気になりつつ、彼女であるキャンディちゃんと街を出る約束をして…

気が多いなエイモスお前は!!でも悪びれもせずやってるからなァ!?

演じる役者にも通じるところありそうですよね、人たらしなところとか(失礼)

でも、こんな世界でも黒人である彼女がいる彼は、きっと素直で純粋なんだろうな…ということは想像がつきますよね。嗚呼、田舎ヤンキー。

そして、そんな彼にやきもきするキャンディちゃん。かわいいね。

 

さて、外の世界におびえつつ、イエスとして振る舞うようになる”ザ・マン”。

あなたのためならどんなことでもする、というスワロー。

多分、次第に「イエス様の生まれ変わりではない」と感じることもあったかもしれませんが、そんな気持ちも見ないふりをして、外界から守り続けるわけです。

この舞台のキャッチコピーとしても打たれていますが、

「誰も 私を/俺を 見てはくれなかった。——あなたのようには」

という感情が二人を引き合わせ、美しい愛だなぁなんて感じる訳です。

 

この舞台では詳細には描かれていない(たぶん)のですが、たぶんザ・マンは、

なんか間違えて逮捕されちゃったとか、何かの理不尽に苛まれて生きてきたんじゃないかと。

そんな彼の苦悩を歌うナンバーがまた”三浦春馬すごい”なんですけど。

そういった曲から分かりますが、彼もまた「誰も自分の本当の気持ちを聞いてくれない」だと思うんです。

お互い同じような不満や孤独感に苛まれて、それを共感して、

男女間の「愛」ではないかもしれないけど、人としての「愛」が生まれたんじゃないかなぁ…。

そんな二人の愛の過程の描かれ方がすごく見ていて引き込まれるし、

多彩な曲たち(ほんとに色んな曲調があるんです)がまたすごいんです…。

 

最後、ザ・マンは自ら姿を消してしまうのですが、

死んだのか、ただ失踪したのか…でも、その去り際もスワローを想っての去り方だったんだと感じて、愛なんですよね。

「え!?自死!?マジで愛!?」と思ったら、

警察っぽい人が「痕跡がない」とかいうもんなので「おやァ…?」ですよね。

いっそほんとに人ならざるものだったら痕跡残らないよね笑。

ま、その線はないとは思うのですが。

 

取り留めなく時系列(なのか?)で感想を追ってきましたが…

そうだな~印象的なのが、夕暮れ~夜の舞台演出がすごく素敵なんですよね。

舞台のメインがその時間帯で、田舎特有の景色だけはやけに良いっていうね!再現性高いな~美術さんうまいことやったな~!と感じました。(偉そうだな)

あと、曲調も多彩とお話しましたが、それに合わせて照明の変わり方も、オシャレでよかったですねぇ…

 

生ちゃんはやっぱりなんちゅーか、子供に混じっててもそこまで違和感無いのすごいですよね…背丈とかもあるけど、すごいな…

ちゃんと「一人だけ大人びた子供たちの中のお姉さん」でしたもん。

 

最後に、ストーリーの中で印象的だったこと。

「大人は信用できない」って一幕で言ってたスワローちゃん

「もう子供じゃないの!」って父に抵抗する二幕のスワローちゃん

そんな子供から大人の間の複雑な世界とか、そんな変化とか、

彼らからみた青くて苦い世界観とか、そういった眩しいものを感じさせるお話だったなぁ。

たぶん、だから一幕では距離を置いてたエイモス(田舎ヤンキー)でも、

二幕では(ザ・マンの言い添えがあったにしても)一緒に行動したり心を開くわけですよね。

 

このキャストで見れてよかったなぁ…。

上演期間が結果的に短くなったのが本当に惜しい舞台です。

29日まで上演中ですので、足を運べそうな方はぜひに。

再演してほしいな~と気が早いながらも思っているヨメなのでした。

 

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久しぶりにこんなまじめに舞台の感想書いた笑!!

こういうミュージカルを見るたびに、世界史ちゃんと勉強しよ…って思います。

いや今回はどちらかというと、アメリカ近代史ですかね。

時代背景分からないとほんと「???」ってなりますもんね。

今からでも遅くない…今が一番若いのだから…(戒め)

 

世間が少しづ~つ、対策しつつもイベントごと再開!となってきており、ちょっとだけ安心しています。一刻も早く、元通りになるといいですね。

先日の記事で触れた舞台も、実は会場の関係で公演中止になってしまったので…

無事に観劇できることのありがたさを噛み締めています。

 

実は、先日映画も見てきたので、近々その感想などもかけたらいいな…

 

それでは!良い三連休を!

 

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良く晴れた日 日生劇場、開いてるってよ!