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【投資】新NISAに向けた準備「全世界株とS&P500どっちがいいの?」という質問から考えるアセットアロケーションの決め方

こんにちは、ダンナです。
2024年から新NISAが始まるということで、今まで投資していた人からこれから始める人まで、多くの注目を集めているように感じます。
なかでも「S&P500」で良いのか「全世界株式」で良いのかという議論が目につきます。
投資初心者には「迷うなら「全世界株式」の投資信託を買っておけ」とアドバイスしていますが、僕は新NISAの積立投資枠ではS&P50の投資信託を買います。
今回はなぜS&P500の投資信託を買うのか、アセットアロケーション(資産の配分)という観点を交えて述べて行きたいと思います。

「S&P500」か「全世界株」、どちらを買うべきかと悩んでいる方の一助になれば幸いです。それでは、始めます。

 

S&P500と全世界株のパフォーマンスの比較

まず初めに、S&P500と全世界株のパフォーマンスを比較します。
単純な比較はこの後の考察に大変有用です。

引用:Portfolio Visualizer

 

見せる期間により見え方が大きく変わりますが、2008年12月から現在までの比較をすると上記のグラフのようになります(青:オルカン赤:S&P500)。
他の期間で比較したい場合、今回グラフを引用した「Portfolio Visualizer」というサイトが大変便利なので使ってみてください。
このグラフから見るに、S&P500は全世界株のリターンを大きく上回っています。

引用:Portfolio Visualizer

 

CAGR年平均成長率を幾何平均で求めたもの)で見ても、S&P500は約14%、全世界株は約10%と大きな差が見られます。
小難しい話をしています。これからも小難しい話をします。
このあたりで匙を投げたくなるのであれば、全世界株式の投資信託を購入するか、そもそも投資をやめるかしたほうが良いでしょう。頑張ってついてきてください。

S&P500は言ってしまえば「アメリカの大手500社に集中投資」をしている状態です。
広く分散された全世界株が劣後するのは長期的に見れば必然であるといえます(この期間、アメリカ株は強かったので)。
では、広く分散された分、全世界株の方が暴落に強いはず…と思いますが実情は異なります。全世界株の方がMax-Drawdown(最大下落率)が大きく、リターンのバラつきを表すStdev標準偏差)も高くなっています。
シャープレシオ標準偏差に対するリターンの大きさ)やソルティレシオ(下落のリスクに対するリターンの比率)で見ても、全世界株が劣後しています。
なぜ、全てにおいて全世界株が劣後しているのか、紐解いてゆきたいと思います。

S&P500と全世界株の相関係数

アセットアロケーションを決めるうえで相関係数は大変重要な指標です。
相関係数とはAとBがどれほど関係性が強いのかを表す数値です。
1に近いほど関係性が強く、-1に近いほど関係性は弱くなります。

引用:Portfolio Visualizer

 

上記の表を見ると、S&P500と全世界株の相関係数は0.96と非常に強い関係であることが分かります。計算に使用するサンプリング期間や引用日数等により数値は前後しますが、概ね0.96とみて問題ないでしょう。
では、なぜS&P500と全世界株は強い関係性があるのでしょうか。
その秘密は全世界株のポートフォリオにあります。
以下はティッカーシンボル”VT”の国別構成銘柄です。

引用:Vanguard HP

 

上記を見るに、アメリカが約61%を占めています。
その他の国では大きくて日本が6%、次いでイギリス、中国、カナダとなっており、アメリカの動向が大きくパフォーマンスに影響を与えています。他は微々たる影響しかなく、寧ろS&P500と比較した結果だと足を引っ張っているとも言えます。

ETF浮動株調整後時価総額加重平均を採用しているため、情勢にりリバランスがされるとはいえ、アメリカに何かあったときは全世界株式ETFも大きなダメージを負うでしょう。

もし、再度リーマンショック級の暴落があった後に、アメリカは立ち直れないという仮説を立てているのであれば「アメリカを除く全世界株」を買うと良いでしょう。将来に期待できない投資をするべきではありません。
「全世界株式の投資信託を買う」ということは、自分でアレコレ思考せず、ただ機械的に積立をしてゆくことが求められます。
僕は自分で投資対象国の比率を決めたいので全世界株式は寧ろ邪魔なのです。

 

インデックス投資のデメリットを把握する

少し話はそれますが、似たような話なので道草を食いたいと思います。
インデックス投資のメリットは多く聞く一方、デメリットについては見当たりません。
しかし、何事にもメリット・デメリットがあり、それを把握していなければ「予想外の出来事だ!」と慌ててしまうことになります。
インデックス投資は理屈人間の僕からしても素人のやる個別株投資やアクティブ投資よりも優れていると思っています。
しかし、インデックスは市場の平均をとるものであり、インデックス投資への資金流入は個別株の値動きを左右するレベルに至っています。
よく言えば皆で仲良く資産が増やせる商品がインデックス投資ですが、悪く言えば皆で一緒に貧乏にもなれる商品なのです。
皆が「アメリカはおわりだ!!!」となり投資信託を手放せば、指数全体が下がり、個別株も下がり、それに影響する資産も下がります。
それは個別株で上手く運用していたとしても、大きな煽りを受けるのです。
昔ほどディフェンシブ銘柄はディフェンシブではないし、景気敏感株は景気敏感でもありません。それぞれの役割があり、それぞれの強みがあるのは事実なので無意味ではありませんが、それほどまでにインデックス投資の影響が強くなったとみるべきでしょう。
超長期的な目線であるならば、これは大したデメリットではないと思います。
しかし、このデメリットはアセットアロケーションを決めるうえで把握しておくべきことだと僕は考えています。素人考えですけどね。

 

アセットアロケーションを決める

さて、以上のことを踏まえたうえで次に話すのがアセットアロケーションの話です。
株式だけで分散をしても無意味、とまでは言いませんが、インデックスファンドの流行る前ほど負の相関を見せません。
地域の分散、通貨の分散、時間の分散と分散方法も多岐にわたりますが、依然として必要なのはアセットクラスの分散であると考えています。
株式と不動産、債券、金や小麦などのコモディティは短期的に見れば正の相関が見られますが、それでもまだ異なった動きをしているように見受けられます。
「そうは言ってもどう決めればいいのかわかんないよ…」
僕も投資を始めた頃はアセットアロケーション?どう決めるの?と思い色々調べていました。
よく目にするのは、年齢(年代)=債券割合と株式のアセットアロケーションです。
年齢を重ねるにつれてリスク許容度が下がるので、安全資産である再建の割合を増やしましょう。という考えによるものですね。
あとはカウチポートフォリオ、オールシーズンズポートフォリオ…とアメリカの話ではありますが、色んなポートフォリオがあります。
それらの考え方を参考に、自分にとり快適なアセットアロケーション、ひいてはポートフォリオを組んでゆくと良いと思います。

 

株式と他のアセットクラスの相関係数

参考までに株式と他のアセットクラスがどの程度似た動きをするのか、相関関係を見てみましょう。
以下はアメリカのJPモルガンの資料から引用したものです。

引用:JPM『資産クラス間の相関 資産クラス間の相関』.2023

上記の表は各アセットの相関を一覧にしたものです。左半分は直近3年、右半分は直近10年の相関を示しています。ざっくり説明すると1に近いほど同じような値動きをして、-1に近いほど異なる動きをします

同じ値動きをするアセットのみでポートフォリオを組むと、リスクの分散が出来ません。むしろリスクの割にAとBの平均をとることしかできないという中途半端なポートフォリオになります。

もちろん、通貨の分散や地域の分散になりますので、まったくの無意味というわけではありません。しかし、「リスクの分散」を求めるのであるならば、異なる値動きをするアセットを組み合わせなければなりません。

 

資産を”買う”ことに固執していないか

これは僕も陥りがちなのですが、資産形成を行う上で「資産を買う」ということに固執してしまいがちです。
「株式はリスクが高いから債券に…でも資本主義が破綻したら円やドルは無価値になるから金やコモディティを現物で持たなきゃ…」と、一度考えると様々なリスクを考えてしまいがちになります(僕自身がそうなのです)。

しかし、本質を考えれば健全な財務状況にするために資産を買うだけでなく、資産を作る側に回る必要があるのです。人的資本を高めるというやつですね。
ブログやYoutube、ハンドメイド作品の販売など自分のビジネスを持ったり、家庭菜園や職人芸といった本業以外の能力を高めたりと、資産の作り方は多様にあります。
仕事もダメ、資産運用もダメとなった時に頼れるもう一つの柱があると良いと考えています。芸は身を助く。昔の人は良いことを言いますね。真理だと思います。

 

r>gの不安定さを理解しているか

投資を始めて少しずつ勉強に脂がのると、「r>g」という不等式を目にすることが増えると思います。rは資本収益率、gは経済成長率を指し、rは年5%,gは年1~2%しかなかったとされています。
そのため、投資セミナーやコラムといったものには「労働所得よりも資産所得の方が増えていくのです!だから投資をしましょう!r>gですよ!」というのです。
しかし、『21世紀の資本論』やその要約本でもよいので読んでみると、意外と推測による統計が多いことに気づきます。また、「資本」の定義が不安定であるという指摘も三建されます(細かく書こうと思いましたが、煩雑になったので割愛)

本書を否定しているわけではありませんが、盲信をして「資本家にならねば!もっと投資を!」とセミナー等に煽られるがままに投資だけするのはいかがなものかと思います。

「愚者は経験から学び、賢者は歴史に学ぶ」

これは「愚者は自分の経験から学んだことを疑わない。私は自分自身の誤りを避けるために、他者の経験から学ぶ。」が意訳されている。自分の経験から学ぶことが愚者だといわんばかりの言葉だが、実際はそのように言っているわけではないのです。切り取られた情報は都合の良い解釈で広まることがままあります。可能な限り一次資料(翻訳でも良いです)に触れて、自分の判断で行動すると良いでしょう。

 

自分の資産を全て確認する

最後に、自分の資産をすべて把握しましょう。
これは本来であればもっとリスクが取れるのにリスクを抑えすぎている。その逆でもっとリスクを抑えなければならないのにリスクを取りすぎているという状況を避けるために必要な過程です。
文字のごとく全て、自分という人的資本から家・保険・車・貯金・現物資産などなど…換金できるものを今の時価で計算して把握しましょう。
資産総額から負債(奨学金やローン、クレジットカードなど)を差し引いた純資産総額を眺めて「ふむ、もっとリスクが取れるかもしれない」と思えば株式を高めに、そうでないならば何かしらのリスクヘッジをする必要があると思います。
「20代30代はもっとリスクが取れるから株式だけでいいよ!」というセミナー等の謳い文句を真に受けず、「自分ならどうなのか」を考えてポートフォリオを組みましょう。

 

ダンナのアセットアロケーションの決め方

すみません、長くなりました。タイトル回収です。
僕のアセットアロケーションの決め方は以上のことを踏まえたうえで、新NISAの積立投資枠はS&P500だけでいいかな?と考えました。成長枠はインカムが欲しいので日本円資産とドル建て資産を1:3くらい。
これは僕という人間が日本で生活をしていて、日本円を得ている。僕らの年金ですら半分は日本円で運用されている…というのが理由です。
これが引退間近であれば話が変わり、全世界株式と全世界債券を…とか考えたかもしれません。今後の見直しでも十分にあり得ます。
しかし、僕が引退するまで、また働けなくなるまで随分と時間があります。
そういったことを考慮して、積立投資枠はS&P500の投資信託という選択をしました。
(全世界株式だと今後の見直しで比率を計算するの面倒臭いし…)
あとは金やコモディティはいらないと判断しました。下落分を補うなら自分のスキルでどうにかしようという魂胆ですね。買う資産だけ見れば必須であると考えていますが、自分という資産を含めて考えれば今は不要です。金の輝きが見たくなったら買うことにします。

 

おわりに

くどくど理屈をこねてみましたが、本来はもっと気楽で構わないと思います。
ただ、どうしても決めかねているという方がいらっしゃれば、自分のアセットアロケーションを決めあぐねている方の一助になれば幸いです。
お付き合いいただきありがとうございました。